三陽ミュージアムでは、屋外の花々がいっせいに目を覚まし始めました。花木類も、カワヅザクラに続き、現在はベニバスモモ、カンヒザクラ、オオシマザクラなどの花が見頃を迎えています。
 花壇でも、ミニアイリスや原種系のチューリップの花が見られる季節になりました。以前から咲いていたクリスマスローズも相変わらず元気いっぱいに花をつけています。これからどんどん花いっぱいの季節になる三陽ミュージアムで、たくさんの皆様のお越しをお待ちしております。

 
 それでは、前庭の端っこで咲いている桜の花から、おすすめの花々をご紹介しましょう。


[ふるさとの道]
【オオシマザクラ】 バラ科 サクラ属
 オオシマザクラは、分布のある伊豆大島にちなんでつけられた名前をもつサクラの原種のひとつで、古くから園芸品種の親として用いられ、サクラの中でも有名な「ソメイヨシノ」の片方の親になったといわれるのも本種です。花は白く、花びらの形がふっくらと丸いです。花と一緒に葉が開きます。葉は塩漬けにして桜餅を包むのに使ったりします。
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 花の門から建物を見ると、いちばん右の端で咲いています。現在、見頃です。

 

[アトリウムフラワーガーデン]
【デルフィニウム】 キンポウゲ科 デルフィニウム属
 デルフィニウムはキンポウゲ科の多年草で、夏の暑さに弱いため、1年草として扱われることも多いです。青や紫の花の品種が多く、ピンク、白もあります。花壇用の品種では、写真の種類のように丈が50cmほどの小型のものから、円錐状にぎっしり花をつける、2mにもなるような大型の種類もあります。写真の2種は、手前の薄い色の方が「ラバーレステラ」、奥の青花が「スターブルー」という品種です。
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【クレマチス モンタナ “ワーウィックシーレローズ”】 キンポウゲ科 センニンソウ属
 クレマチス モンタナは、ヒマラヤ地方や中国西部が原産のクレマチスの一種で、白や桃色の花が特徴です。十字型に丸い花びらが開き、節ごとにたくさんの花をつけます。アトリウムで、今週からこのモンタナの園芸品種3種類が登場しました。そのなかでも今回ご紹介する「ワーウィックシーレローズ」は、花の桃色が濃く、花びらが細く見えるのが特徴的です。
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 クレマチスは木にからんだ状態で、デルフィニウムはその足元で見られます。

【フリチラリア “ミニチュアインペリアリス”】 ユリ科 フリチラリア属
 日本に自生する「クロユリ」、国内で古くから栽培されてきた「バイモ」と同じグループの植物です。今回アトリウムで見られるのは、和名を「ヨウラクユリ」という「インペリアリス」種の園芸品種だと思われますが、草丈は80cmほどで、茎の先端の方に橙色の下向きの花がまとまって咲きます。ユニークな形が目を引きます。
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【オーニソガラム ダビウム】 ユリ科 オルニトガルム属
 英語では「sun star」、「star of Bethlehem(ベツレヘムの星)」などと呼ばれるユリ科の球根植物です。明るいオレンジ色の小花を枝先につけ、とてもかわいらしいです。ひとつひとつの花は、チューリップを小型にしたような形です。鉢植えや切り花で利用します。
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【ハイドランジア “おはよう”】 ユキノシタ科 アジサイ属
 今年も少し早いですが、アジサイが見られる時期になりました。この「おはよう」は、花が全体的に小ぶりで、ガクアジサイ形なのですが、外側の装飾花は白く八重で、中央の両性花(小さな花)の部分も花びらが目立ちます。色は淡い藤色と桃色で、とてもかわいらしい花です。
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 写真の柱の横に植えてあります。チューリップよりずっと丈が低いです。


[植物企画展]
 先週までの予定だったスイセン展ですが、今年は寒さで開花が遅れて、現在見ごろになっているため、期間を延長して展示を続けています。
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【スイセン“モダンアート” 】 ヒガンバナ科 スイセン属
 副花冠(内側の花びら)が橙色、外側は薄い黄色のスイセンです。副花冠が八重になってフリルのようにぎっしりと重なり、ボリュームがあります。面白い形の花です。
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[温室]
 温室では青色の花が咲くつる植物「ヒスイカズラ」の花が次々に開いています。今年は花数が多いです。
 ぜひお越しの際はご覧ください。
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 分かりづらい写真で申し訳ないのですが、とても神秘的な青色の花です。

 

[前庭]
【ハボタン】 アブラナ科 ブラシカ属
 冬に葉の色を楽しむ観葉植物のハボタンは、この時期になると花が咲きます。アブラナ科らしく、黄色い花の菜の花ですが、花弁はやや細長です。冬にキャベツのようにギュッと固まってた形に比べると、縦にかなり長く伸び、まるで違う植物のようです。まもなく寄せ植え類は春の花々に替わりますので、それまでのお楽しみです。
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 エントランス手前の寄せ植えで見られます。



[ローズガーデン]
【ルッコラ】 アブラナ科 エルカ属
 ルッコラはアブラナ科の植物で、上で紹介したハボタンなどが含まれるアブラナ属にごく近縁な、エルカ属の植物です。日本で野菜として有名になった「ルッコラ」という名はイタリア名で、英語名では「ロケット」といいます。食用にする葉にはゴマのような香りがあり、辛みもあります。原産は地中海周辺の地域です。食用ハーブとしてもよく知られ、当館でも、ローズガーデンの「ハーブの小庭」のコーナーで見ることができます。
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 写真中央の奥、角の所にあるかたまりです。

【ユーフォルビア ウルフェニー】 トウダイグサ科 ユーフォルビア属
 地中海の沿岸地域やポルトガルが原産のカラキアス種の変種で、花序が幅広い円柱形に集まる種類です。低木のようになる多年草で、草丈1.2mほどになります。例年、とても早い時期から花を咲かせます。ローズガーデンの入り口、アーチの脇で見られます。花の色は緑で、花自体はさほど目立ちません。
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 アーチの両脇でよく茂っています。